T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

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税理士試験の科目別学習ポイント(国税徴収法編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は国税徴収法の学習のポイントについてのお話です。

 

1. 試験の概要

(1) 問題構成

国税徴収法税は大問二問でその中に小問がいくつかあります。大問の配点は50点、50点だったり40点、60点だったりします。小問の数も年によって変わります。

配当計算の問題も出題されますが、計算過程と根拠を解答する問題となっており計算問題というより理論の事例問題となっています。理論100%の科目と言っていいと思います。

 

2. 難易度

(1) 学習量の比較

法人税消費税相続税と同様に予備校の標準学習時間と理論の題数で比較してみます。

 

予備校の標準学習時間と比較すると以下の通りとなっています。

簿記論・財務諸表論:450時間

法人税所得税:600時間

相続税:450時間

消費税:350時間

国政徴収法:150時間

 

理論の題数で比較すると以下の通りです。年や予備校によって題数が変わりますのでおおよその目安です。理論の題数の方が科目ごとのボリュームが分かり易いと思います。

法人税:125題

相続税:65題

消費税:40題

国税徴収法:45題

 

予備校の標準学習時間には理論の暗記時間は含まれていません。国税徴収法の勉強量は消費税の5-6割、法人税所得税の3-4割程度ではないかと思います。

 

(2) 合格率

合格率は11-13%程度で他の科目と同レベルですが、第64回(2014年)以降の8年間で最も合格率が高かった年が第64回(2014年)の14.2%、最も低かった年は第67回(2017年)の10.7%となっています。合格率が高くなるボーナス年がない印象です。

 

(3) 受験者数と受験者のレベル

国税徴収法は、所得税と受験者数が同じくらいです。ミニ税法では消費税が圧倒的に受験生が多いですが、その次に受験者数が多く住民税・事業税の4-5倍、固定資産税の1.5-2倍となっています。

 

国税徴収法は、大学院免除の人や税法初学者が選択することが多く、受験生のレベルは高くないと思います。

 

3. 合格への戦略

(1) 問題の傾向と対策

① 理論の分量と傾向

国税徴収法の理論は題数こそ消費税と同程度ですが、ページ数にすると消費税の1.5倍ぐらいあります。意外と分量があると思います。

私は、理論マスターを見た時に思ったより分厚くてびっくりしました。

小問を含めると理論全体の2-3割は本番の試験で出題されます。5年程度で全範囲が出題されているというイメージです。頻出論点は毎年のように出題され、前年に出題された理論も切り口を変えて連続で出題されることもあります。したがって、Cレベルの論点はないと言っていいでしょう。全ての理論を覚えなければなりません。

全て理論問題でべた書きの問題も出題されますが、横断的な問題、事例問題趣旨を問う問題も多く出題されます。

 

② 学習方法

国税徴収法の理論は、他の税法と比べ理論間のつながりが強いです。カリキュラムが一巡して全体像が分かると理解が進み、理論も暗記しやすくなります。横断的な問題も多く出ますので、早めに一巡して理解を深めましょう。分量こそ多いものの理論間のつながりが強い分、他の税法よりも暗記はしやすいのではないかと思います。

 

③ 趣旨

国税徴収法では趣旨を問う問題が多く出題されます。答練で出た問題は確実に解答できるよう暗記し、予備校のテキストに書かれている法令の趣旨も本番では自分の言葉でいいので解答できるように暗記する必要があります。

 

(2) 配当問題

配当問題は、1で記載した通り、計算過程と根拠を解答する問題となっており計算問題というより理論問題です。配当問題では、滞納者は複数の税金を滞納しており、銀行借入などの私債権も多い複雑な問題が出題されます。配当問題で満点を取ることは可能ですが、他のミニ税法(消費税を除く)と異なり、満点を取るのは簡単ではありません。

配当問題を習得するには、予備校の答練、問題集に加え過去問の配当問題を繰り返し解くことが重要と思います。

 

(3) 過去問

国税徴収法は改正が少なく過去問の研究が有効です。過去問を解くと横断的な問題、趣旨を問う問題が多く出題されていることが分かります。また、配当問題も難しいことが分かります。

予備校では週1回の講義・答練で試験範囲を一通り学習しますが、本番試験の対策には足りない部分があると思います。

自分で20年分の過去問を2周することをお勧めします。過去問と解答・解説は予備校のテキストにあると思います。過去問を解くことで予備校のカリキュラムで足りていない部分を自分で補うことが出来ます。会計科目、国税三法、消費税では予備校のカリキュラムのほかに自分で学習する余裕はなく、また、その必要もないと思います。国税徴収法であればその余裕はあり、かつ、過去問の研究は大変効果が高いと思います。

(4) 時間配分

国税徴収法は、税理士試験の中で唯一見直しする時間がある科目と言われています。解答スピードはそれなりに必要ですが、満点勝負でも速記試験でもなく、落ち着いて試験に臨むことができると思います。

 

4. 合格可能性

国税徴収法は、理論のみで運の要素がほとんどなく、成績上位者から順当に合格する科目と思います。受験生のレベルも高くありません。合格の可能性だけを考えるのであればお勧めの科目です。

顧客が滞納したり納税の猶予を受けようとしたりしない限り使わない科目ですので、実務的な科目ではないと思います。

 

5. 学習スケジュールと選択順序

国税徴収法は、年明けからでも合格レベルに達することは可能と思います。とはいえ、意外と理論の暗記量が多く、全体像を把握するのが重要なため、9月の基礎期から応用期にかけて学習範囲を2周し、直前期に過去問の研究をするのが1年で合格レベルに達するには確実な方法であると思います。

国税徴収法は理論だけですが税法の1科目目や2科目目に選択するのはお勧めしません。最終科目に選択すべきと思います。税法経験者であれば理論暗記の経験があり、初学者に対して有利になりますが、税法1科目目ではそのメリットがありません。また、他の税法では理論と計算を両方学習する必要がありますが、理論のみの学習に慣れてしまうと理論と計算の同時学習に戻るのが大変になります。

 

国税徴収法は、実務は考えずに試験合格のみを目的とし、かつ、税法3科目目であればお勧めの科目と思います。

 

ボールペンの色は青が見やすく、ゲルインクが使いやすいのではないかと思います。

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。