T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

ここが変だよ税理士試験(試験全般編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は私が思う税理士試験の問題点についてのお話です。まずは試験全般の問題点について書きたいと思います。

 

1. 難易度と相対評価

私は、税理士試験は相対評価で合格率も低く難しすぎると思います。これは、税理士試験だけでなく会計士試験や司法試験などの難関資格一般に同様の傾向であると思います。

 

専門家として必要な能力は私が思いつくだけでも以下のようなものがあります。

  • 専門知識
  • 顧客ニーズの把握
  • 説明・プレゼンテーション能力
  • コミュニケーション力
  • 交渉力
  • 営業力

試験で測ることができるのは「専門知識」のみで、専門家として必要な能力のごく一部です。「試験ができる」=「専門家として有能」ではありませんし、「試験ができる」=「専門知識がある」とも必ずしも言えません。

私は、税理士試験は有資格者として最低限の専門知識を有しているかを確認するための絶対評価とすべきと思います。

 

司法試験や会計士試験は働きながら試験に合格するのは困難です。学生時代に受験を開始するか、仕事を辞めて勉強に専念しなければ合格が難しいです。税理士試験は働きながら合格することは可能ですが、働きながらであれば最速で4年、一般的に8年程度はかかっています。働きながら試験に合格するのは可能とはいえかなり難しいです。

 

試験の合格者を増やすと有資格者のレベルが下がるという意見もありますが、現在の試験制度は、能力や経験値が高くても社会人経験者が試験に挑戦すること自体が難しく、むしろ有資格者のレベルを下げていると思います。既資格者が競争を避け既得権を守るために参入障壁を高くしているとしか私には考えられません。

 

私は、税理士試験を絶対評価とし、社会人が働きながら2-3年で取得できる難易度とすべきと思います。試験勉強にばかり時間をかけるのではなく、専門家としての研鑽に十分な時間を充てられるようにすべきです。

 

2. 地方税は試験科目に不要

税理士試験の受験科目から地方税(住民税、事業税、固定資産税)は外すべきです。地方税はそもそも分量が少なく、賦課課税方式の税であるため税額計算や手続のバリエーションも乏しく、相対試験の科目として差がつくような問題を作成することが難しく

試験科目に不向きです。理論は速記試験となり、計算はワンミスするかどうかの勝負となります。このようにわずかな差で合否を分けることに何の意味があるのか私には分かりません。

 

3. 試験の分量と制限時間

税理士試験は1科目2時間と決まっています。試験の分量は多く、見直しの時間が取れる科目は財務諸表論と国税徴収法ぐらいかと思います。その他の科目は、理論は速記試験となり綺麗な字を書く余裕はなく、計算も問題の取捨選択をしつつ何とか解答欄が埋まるかどうかです。(相続税の計算の解答欄は埋まらないと思います。)見直す時間はほとんどありませんし、途中で間違いに気づいても書き直す時間がありません。スピード勝負でかつ1回で正解を導き出さなければなりません。

実務でも期限はあるのでスピードも大切ですが、やり直しや確認の時間が全く取れないということはありません。落ち着いて対応し、見直しをして正確な仕事をすることの方が重要です。試験でここまで瞬発的なスピードを求める必要があるのか私には理解できません。

私は、今の試験の分量なら試験時間は1科目3時間にすべきと思います。

 

4. 採点基準と模範解答の公表

税理士試験では出題のポイントは公表されていますが、科目や年によって記載の粒度が異なり、有益なものもあればほとんど内容がないものもあります。模範解答も採点基準も公表されていません。また、自分の答案について開示請求をしても黒塗りでどのように採点されたかは開示されないようです。

このように、税理士試験の採点は非常に不透明で公平な採点がされているか不明です。民間資格なら主催団体が勝手にすればいいと思いますが、税理士試験は国家資格の試験であり透明性が求められると思います。

私は、模範解答と採点基準は公表すべきと思います。

 

5. 合格発表までの期間

税理士試験は合格発表まで約4カ月もかかっています。5科目を受験する公認会計士の論文試験で3カ月、8科目の司法試験の論文式試験で4カ月となっています。記述式の国立大学の2次試験も2週間程度で合格発表があります。税理士試験は1科目ずつ合否を判定するものであるにもかかわらず、これらの試験と比べ非常に時間がかかっています。予備校の模擬試験であれば1-2週間で採点が終わります。

税理士試験がどのような体制で採点されているのか分かりませんが、採点のための十分な人員が確保や採点基準の明確化がされていないのではないか思います。

税理士試験は科目合格制をとっており、合否の結果は次の科目の学習に大きく影響してきます。合否の結果が予想通りであればいいのですが、予想に反して合格又は不合格となっていた場合には、4か月間の学習科目の選択の誤りにより無駄な時間や予備校の費用を費やすことになりかねません。合格発表までの期間が長いことは、人によっては1~2年受験期間が延びるほどの影響があると思います。合格発表が遅いことは受験生にとっては大きな負担です。私は、試験から合格発表まで2カ月ぐらいにすべきと思います。採点のための人員の確保や採点基準を事前に明確にしておくなどの対応をすれば十分に可能と思います。

 

計算問題や理論問題の問題点については、今後書きたいと思います。

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。